vol.15『言うは易く行うは難し』

チームトレーニング前後、あるいはチーム活動以外の時間に、自分が定めた目標に向かってトレーニングを積んでいるアスリートはどのくらいいるのだろうか。かくいう私がそうであったかというと全くそのような事に取り組んでいなかった。
アスリートを強化するには程よく「人材・物資・資金・情報」が大切な要因と言われて久しい。協会やチームはこのキーワードを基準にプロジェクトを立ち上たり、それをシステム化することは簡単ではないが実践しやすい。問題はアスリートが「個」としてこれらと対峙すると途端に大きな山にぶつかったりする。もちろん「チーム○○」などと組織化することもあるにはあるが全てのアスリートがそのような状況に身を置くことが可能になるかというとそうでもない。特に団体球技はかなり厳しい。
チーム活動については、チームやリーダーが提案し組織が承認することで役割が決まり所謂「PDCA」なるものを回せ、となるのだが果たしてアスリート個々がこのような意識をもって日々取り組んでいるかというと、なかなかYesと応えられないだろう。
チームの掲げる目標は「JHLチャンピオン」「日本選手権優勝」「グランドスラム達成」など具体的「成績」として挙げられるが、アスリート個々の「目標」は果たしていかなるものになるのか?
チームが当初掲げた目標がアスリート個々の目標と重なることはまずないだろう。チームが優勝する瞬間に観客席にいたとしてもアスリートの「目標達成」となることはあり得ないだろうし、チームが勝利を収めたとしても、自分自身のパフォーマンスが悪ければ納得できるはずもない。
そこでアスリートが考えなければならないことは、もちろんチームの一員としてチームの掲げた「目標」に向かって全力を尽くさなければならない、でなければ他のアスリートに場を奪われても文句を言えまい。必要で重要なことはチームとは対極にある「個」であるアスリートが自分自身といかに向き合い、「自分自身がどうなりたいか」「何を目指すのか」ということを設定することにある。
イチロー選手は「世界で誰もが認める選手になる。」と小学生か中学生時代に目標を掲げている。よって、高校時代自分で決めた「素振り15分(だったと)、365日」を実践している。
少なくとも私が関わったアスリートが全員そのような「目標」を保持し実践していたとは思えない。もちろんアスリートを取り巻く環境が千差万別であり「難しい」ことは十分理解する。前述したように私も時間に流されていた。ただし、これからのアスリートは自分で決める力が必要になる。日ごろから小さな目標をクリアする習慣を身に着けておくことで自分自身が望むものを手に入れることができるのではないか。
明日のためのその一、まずは今日から自分で考えた自主トレ.
Let’s make a decision!

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