vol.10『3つのコミュニケーション』

 トレーニング中は味方とのコミュニケーションは必要不可欠のはずだが、日本リーグを長らく見てきたが明らかに以前よりもコミュニケーション欠如の状況を多く見る。コンピューターゲームや学校教育の問題ということは少し横に置いといて、コート上必要なコミュニケーションについて考えてみる。
 最も簡単かつ明確に伝わる方法は、やはり「声」を出す、ということになるだろう。お互いの考えを伝えながら一つの答えを導き出すものだが、パフォーマンス中に行われるものであるならば端的・明瞭でなくてはならない。よく喋るアスリートが「なかなか伝わらない。」と嘆くシーンが見られるが、そこはこの端的・明瞭に「声」が施されていないから伝わらないので、相手の責任にしているうちはなかなか状況は改善されないだろう。サッカー協会などはトレセンの講義に「言語技術」といった科目を入れ込んでピッチ上のみならず普段のミーティングなどでも論理的思考やクリティカルシンキングなどを磨きピッチ上のパフォーマンスに活かしている。
 次に何がくるかというと、やはり「ボディーランゲージ」。スピーディーな攻防、攻守の切り替えが頻繁に行われるハンドボールにおいては常時的確な「声」によるコミュニケーションが図ることができるかというとなかなか難しい。その際必要になるのが体の一部を使って味方に「意思表示する」ことが求められる。OF時のフリーの選手、ワンパス速攻時の指示、などがあげられる。中でも個人的に日本人選手に不足していると考えるのが、ピボット(以下「PV」)からの「意思表示」である。現在のハンドボールではPVの役割はOF時大きなウェイトを占める。パスされたボールをキャッチするだけでなく、自らこの位置に「パスを出せ」とバックプレーヤーに「指示する」ことができなければならない。スタート時は余裕がないため常に構えていることで絶好のタイミングを逃してしまうことはあるが、繰り返しによりDFの状況と味方のコンビネーションを踏まえてベストのタイミングを身に着けることができる。最もの進化系は「セカンドゲームメイカー」として味方にコンビネーションなどの指示を出せるようになる。こうなるとなかなかハードなポジションではあるが、面白みが倍増するのではないか。
ちなみに選手時代名アシストと名を馳せたシグルドソン監督は、湧永時代常に山口・杉山の両PVに「必ずパスを通すから、手を見せろ。」と。その後、バックプレーヤー陣のパススキルも併せてレベルが上がったことは言うまでもない。
 最後というよりは、ひょっとすると一番進んだコミュニケーションの方法かもしれない「アイコンタクト」。目を合わせることでお互いが「了解」となる阿吽の呼吸というものにつながるかもしれない。ただし、これは前述した2つの手段を常に駆使することで得られるものと心得たほうがいいだろう。 “目は口程に物を言う”という境地までお互いを高めることが出来ているならば、スカイプレーなどはノーサインで成功させられることが出来るようになる。
 3つの方法「声を出す(Voice)」「体を使う(Body language」「目を合わせる(Eye contact)」を普段のトレーニングから使うことによってパフォーマンス向上につなげることを勧める。

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