vol.2『選手のまま?競技者になりたいか?』

 いつからか「アスリート」という言葉を使うようになってきました。この言葉日本語に訳するとどうなるでしょう? 選手は「Player」ですから少し違うような気もしますね。そうすると「競技者」あたりが無難に落ち着きそうではないですか?ただ、この選手と競技者の「違い」はしっかりと押さえておきたいところですね、指導者としては。
 トヨタ車体や大同特殊鋼などのチームには現役引退した、あるいは高校や大学くらいまでは経験者であったがトップチームでは登録していない選手らが集うクラブがあります。トヨタ車体ならTABクラブ、大同なら大同クラブ。いずれもハンドボールという競技をプレーしていることには変わりありません。であるならばどちらも「選手」でよろしいかと思いますが……..そうはいかないでしょうね。会社も、現役とOBの捉え方は全く違うでしょう。もし同じであれば同じ環境下でトレーニングしてるはずです。でも現実そうなっていない。時間も予算も全くかけ方が違います。余暇の時間を楽しんでプレーする、勝負の結果を問われる、などいろんな「違い」はあるんですが、

 私はこのように捉えています。(おそらく他の競技のコーチたちも同じだと思います。)
選手:Payerというのは「手を選ぶ者」で、競技者:Athleteは技を競い合うもの、と。
手を選ぶというのは自由にどんなスポーツを選んでも構わないと捉えます。月曜日にハンドボール、水曜日にサッカー、野球は土曜日の早朝にしましょうか、なんてことが可能なんですね。対する競技者は技を競い合いますから、心技体を充実させてインテリジェンスを高めながら超回復を繰り返し対戦相手や過去の自分と向き合い、競い合うわけです。TABクラブや大同クラブのメンバーはそんなことしません。
 もちろん40過ぎの”選手”がアスリートになることを目指すことも自由ですし、個人的には応援したいと思いますよ。ドラマチックですよね。ただし厄介なのが逆のパターン。それも気が付かないうちにそのような状況に陥ってしまっていること。皆さんの周りにいませんかこんな”アスリート”………………..
日本代表になっただけで満足している、日本リーグのチームに入っただけで十分、名門(何をもって名門かは別の時に)チームに進学したからOK、”アスリート”が”選手化”してしまっていないか、ということです。いつしか夢や目標を持てなくなっている。
 
 最も気を付けたいのは、指導者がアスリートを選手化させていないか、ということ。

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